日本三大つるし飾りとは?大治町50周年記念展示で見た「雛のつるし飾り」の歴史と意味

桃の節句の季節になると、日本各地で見られる美しい「つるし飾り」。

愛知県名古屋市のマリオットアソシアホテルに行き、「日本三大つるし飾りと大治町のつるし飾り共同展示」を見てきました。

色とりどりの小さな飾りが何十個も吊るされた光景はとても華やかですが、その一つひとつには、子どもの健やかな成長を願う深い意味が込められています。

この記事では、展示で知った

  • 雛のつるし飾りの歴史

  • 日本三大つるし飾り

  • それぞれの飾りに込められた意味

について分かりやすく紹介します。


日本三大つるし飾りと大治町のつるし飾り共同展示


今回訪れたのは、大治町町制施行50周年記念事業として開催された展示です。

展示では、日本各地に伝わる「つるし飾り」と、愛知県大治町で制作されているつるし飾りが紹介されていました。

中に入ると、赤い紐からたくさんの小さな飾りが下がった華やかな装飾が並びます。
これが、江戸時代後期から伝わる日本の伝統文化 「雛のつるし飾り(HINA NO TSURUSHI-KAZARI)」 です。

これは、初節句を迎える娘の健やかな成長と良縁を願う飾りとして作られてきました。


雛のつるし飾りの始まり(江戸時代後期


雛のつるし飾りの起源は、静岡県東伊豆町の伊豆稲取温泉に伝わる風習です。

江戸時代後期、雛祭りに飾る雛人形はとても高価で、一般家庭ではなかなか手に入れることができませんでした。

そこで祖母や母たちは、
「せめて愛する娘や孫のために何かしてあげたい」
という思いから、端切れ布を使って小さな人形や飾りを手作りしました。

さらに近所の人たちも飾りを持ち寄り、竹の輪から赤い糸で吊るしたのが始まりとされています。

つまり、つるし飾りは
地域の人たちの愛情が集まって生まれた文化なのです。


一つひとつの飾りに込められた意味


つるし飾りの特徴は、すべての飾りに願いが込められていることです。

赤ちゃんのお守りとして「衣食住に困らないように」という思いが込められています。

代表的な意味には次のようなものがあります。

猿(さる)
「難が去る(さる)」という語呂合わせで、災いを避ける意味

ふくろう
「苦労しない」という意味


長寿の象徴


邪気や悪霊を払い、延命長寿を意味する

このように、願いが具体的な形になっていることがつるし飾りの大きな特徴です。

また、これらの飾りはすべて手縫いの完全な手作りで、一針一針に愛情が込められています。


日本三大つるし飾り

現在では全国各地で見られるつるし飾りですが、特に歴史的背景が残っている三つの地域があり、これらは 「日本三大つるし飾り」 と呼ばれています。

静岡県東伊豆町


雛のつるし飾り

竹の輪に紅白の布を巻き、5列の赤い糸に55個の細工物を吊るします。
対になるため、全部で110個の飾りになります。

女の子の初節句を祝う飾りとして作られてきました。


山形県酒田市


傘福(かさふく)

傘の先に赤い幕をめぐらせた天蓋に、願いを込めた細工物を吊るすのが特徴です。

桃の節句だけでなく、

  • 結婚祝い

  • 出産祝い

などの慶事の贈り物としても飾られています。


福岡県柳川市


さげもん

鶴・亀・海老・三番叟などの縁起物の細工を、紅白の輪から吊るします。

7個×7列の49個の飾りに加え、中央に柳川まりを2つ吊るし、合計51個になります。

これは「人生50年」と言われた時代に、
1年でも長く生きてほしいという願いが込められているそうです。


愛知県大治町のつるし飾り

愛知県大治町のつるし飾りについても紹介します☆

大治町では「雅の会」という団体が制作活動を行っています。

この活動は、東伊豆町の雛のつるし飾りに感銘を受けたことがきっかけで始まり、現在では約60名のメンバーが子どもたちの成長を願いながら制作しているそうです。

地域の文化として、新しい形でつるし飾りが受け継がれているのはとても素敵だと感じました。


男の子の節句「端午のつるし飾り」


つるし飾りは女の子の節句だけではありません。

端午の節句では、空高く泳ぐ鯉のぼりのように 「元気に、のびのび育ってほしい」

という願いを込めた男の子のためのつるし飾りもあります。

節句文化には、子どもへの願いが形として表現されているのが印象的です。


まとめ


今回展示を見て感じたのは、つるし飾りは単なる装飾ではなく、
家族や地域の人たちの祈りと愛情が形になった文化だということです。

江戸時代、雛人形を買うことができなかった家庭の
「それでも子どもの幸せを願いたい」という切ない親心から生まれた文化が、今も受け継がれています。

一つ一つの小さな飾りに意味があり、すべて手作りで作られていることを知ると、見る印象も大きく変わりました。

母から娘へ、娘から孫へ。
そんな思いのバトンが、何百年も続いているのだと思うと、とても温かい気持ちになります。

もし桃の節句の時期にこうした展示を見かけたら、ぜひ近くで見てみてください。
きっと、日本の伝統文化の奥深さを感じられると思います。

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